楠木建, 2010, 『ストーリーとしての競争戦略  優れた戦略の条件』東洋経済新報社.

私は教員として「初めて」自分なりに考えた作文指導のやり方がある。

それは「ストーリーを入れること」である。

基本的にこれは進路指導にも当てはめている。

就職の面接も、
進学のための小論文も、
すべて「自分」という人物(=会社にとっては「商品」)を伝えるためのメディアにすぎない。

そのメディアにあらわすメッセージこそ、
「ストーリー」である。

・・・自分なりには「大発見」。
でも、陳腐な内容だろうなあ(大体の発見も、「コロンブスの卵」であると補足したい)。

本書を2800円出して買ったのも、ひとえにこの「自分なりの発見」がもとになっている。
ストーリーこそ、人を動かすし、社会的成功につながる(=会社の反映)。
それを感じているのである。

本書の前半は「ストーリーとしての競争戦略の大事さ」を言うことに終始する。
これは単に「経営にとってストーリーが大切だよね―」というミーハーな内容では、ない。

論理的・具体的な話を盛り込みつつ、競争戦略をきちんと「ストーリー」の形で打ち出すことの大事さを伝えているのである。

よくある失敗としての「目標を戦略としてしまう」ことの問題点も書いている。

「戦略の実行にとって大切なのは、数字よりも筋のよいストーリーです。(・・・)ストーリーという戦略の本質を考えると、筋の良いストーリーをつくり、それを組織に浸透させ、戦略の実行にかかわる人々を鼓舞させる力は、リーダーシップの最重要な条件としてもっと注目されてしかるべきだというのが私の意見です。」(52-53)

企業の経営戦略は、残念ながら末端まであまり浸透しない。
だから戦略を司るストーリーを組織の末端まで「ビジョン」として伝えるのが必要、との議論である。

そのストーリーは自体で他社よりも優位に立てる戦略である必要がある。

その際は顧客価値に気を配るのが大事だ。

「本質的な顧客価値を突き詰めるとは、「誰が、なぜ喜ぶのか」をリアルにイメージするということです。」「戦略ストーリーが動画である以上、その起点にあたる顧客勝ちも動画で構想されなくてはなりません。その言葉を聞いたときに、ターゲット顧客を主人公にした動画のシーンが見えてくるようなコンセプトでなければ、ストーリーの発火点にはならないのです。」(253)

本書は何度も、スタバが「禁煙」「長くいてもOK」と、喫茶店の常識を覆したり、
ガリバーが「中古車買取専門店」を名乗り、自社での小売を重視しなかったりというような、
業界人から見てバカ、と思える戦略が結果的に成功したという点を書いている。

これらに共通するのは「部分の非合理を全体の合理性に転化する」(346)点にある。

スタバは単に「コーヒーを提供する店」という戦略を立ててはいなかった。
忙しい現代人に「第三の居場所」を提供することを重視していた。

ガリバーは単なる街の「買い取って、それを店先で売る」中古車屋ではなかった。
中古の車を速やかに市場に出し、車を売るときに感じるうさんくささを払拭するという戦略を立てていた。
(作者は実際に複数のガリバーに愛車を持って行き、見積もりを取った。すると全く同じ金額になった、という。こういう「一見バカげている」ことを普通にやる研究者、尊敬してます)

私が「ハッ」としたのは次の部分。

「インターネットは技術としては確かに革命的でした。しかし、「IT革命」という言葉が独り歩きしてしまうと、これまでのすべてが非連続的に変わる、変わらなければならないという議論に飛躍しがちです。今も昔もビジネスはしょせん人間が人間に対してやっていることです。人間の本姓はそう簡単には変わりません。何を喜び、面白がり、嫌がり、悲しむかは、江戸時代、いやもっと前からほとんど変わっていないのではないでしょうか。」(286)

最後に書いているストーリーの大事さは、なかなか勉強になった。

「優れた戦略ストーリーを読解していると、必ずといってよいほど、その根底には、自分以外の誰かを喜ばせたい、人々の問題を解決したい、人々の役に立ちたいという切実なものが流れていることに気づかされます。世の中は捨てたものじゃないな、とつくづく思うのです。」(499)

この「ストーリー」の大事さ。

私も「使って」いくことにしよう。

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